FOUND Inc. ROOM_201 / NOVEL SHELF
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THE FOUNDING STORY

FOUND Inc.
// BORN FROM THE BUG

ROOM 201 NOVEL SHELF

Too specific to exist.
Too useful not to build.
room_201
index.html | style.css | app.js
ROOT@BUG_TERMINAL:~#
# refactor --remove-bloat --keep-core
> [CLEAN] Redundant AI prompts deleted.
> # git commit -m "backup_at_room201"
> $ deploy --target="last_train" --step="exit, downstairs, turn_right"
Core_of_the_Bug.md saved chapter_03
UTF-8 日本語 auto save 1500ms
先ほど言ってたことを撤回する。 結局、パワポの添削だけでいっぱいいっぱいだった。 でも、いろんな情報と仲良く並んでた中に、ちゃんと自分がどんなSNSを作ろうとしていたか。たっぷり解説してる一文が発掘された。 それを軸に、実装は最小限に、組み直す。 「もう終電だろ」 「ぉんげっ」 集中していた。変な声が出た。 こんなに助けてもらったのに、 一番助けて欲しいコード編集まで進めなかった。 今日の授業終わりなら大丈夫。 って夕方は言ってた。 バグはすがるような目で、検索くんを見る。 「ん?……泊まる?」 「えっ!」 「まぁ、明日が提出日な訳じゃねぇんだから。また来れば?」 「いいの!? つ、次いつあいてる?」 「ん? 明日、朝から来ればいいじゃん」 「あ、朝?」 「明日はオンラインでいけるっしょ」 「マジで!?」 「先生とのグループチャットあるから、俺が連絡入れとく」 「そ、そんなの、許されるのかな!?」 バグは朝から一緒に課題ができることよりも、嬉しい理由があった。 検索くんがつくった噂のオンライン授業システムを体験できる。 ソフトがあるなら、明日は、ぜひ立ち上げから見たい。 何時に来たら正解だろう。 教室で見つけたことのないカメラの位置…… 先生のマイク音源のインプット…… 夕方頭の中で考えたことを思い出して、 バグの動きが止まった。 検索くんはベットに寝そべったまま指示を飛ばす。 「ほら、余裕もって、帰る準備」 「ほ、ほい!」 「財布と携帯チェック。あるか?」 「うい!」 両手に財布とケータイを持って、見せつける。 「オッケー、それだけあったら問題ない。 なんか置いてかえっても、明日も朝ここ。 わかった?」 「わかった!」 「ん。じゃあ、もう靴履く。 今なら曲がるとこ1本ずれても終電間に合う」 「完璧だ。検索くん、マジ助かった。じゃあ、明日もここで」 「明日もスマホと財布あれば、 俺のPCにバックアップある。 今はドアを出る、駅に向かう。OK?」 「おーけー!ありがと!」 「ん、ドア出たら、階段降りて右な」 「階段降りて右、できる!また明日ね!」 バタンと音を出して玄関のドアが閉まる。 部屋が静かになる。 いつもの静けさにふぅ、と息を吐いた。 スマホを操作する。 玄関の鍵がガチャンとしまった。 放課後から終電までの数時間だが、 検索くんはバグの扱いが少しわかってきた。 前半の脱線と熱弁がすごかったが、話したいだけ話したら後はスッキリした顔で、もりもり修正をはじめた。 検索くんはベッドの上で開きっぱなしのノートPCに目をやる。 まだまだ説明文が長すぎるPowerPoint. そして、未完成の「Roomfolio」のホームページ。 画面内には、なぜかテレビと額縁のアセットが飾られている。 検索くんはタッチパッドに手を伸ばし、 ページをスクロールする。 画面いっぱいに部屋の画像が表示されている。 部屋のポートフォリオで「Roomfolio」ね。 安直っぽいけど、響きは悪くない。 サンプルテキストとして表示されたままのLOVEの字。 どこかへつながっているリンクをタップしてみる。 新しいウインドウが開かれ、 表示されたのは警視庁のホームページだった。 ふっ、と口から息が漏れる。 サンプルにしても、もうちょっと違うページ繋げるだろ。 そう思って、閉じるボタンへカーソルを寄せる。 「ん」 検索くんの手が止まる。 ユーザーのプロフィール画像を表示予定の箇所に、破損した画像リンクのマークが浮かび上がっていた。 右クリック。 画像アドレスをコピー。 検索欄にペーストしてみた。 /assets/keiji.jpg 「んんッ」 耐えられず、 軽めの唸り声みたいなのが出た。 「ちゃんと刑事のアカウントなんかい……」 行き場のない笑いを、 小さく呟いて乗り越える。 そのまま、しばらく画面に写し出された部屋をながめていた。 ランダムと書かれたボタンをクリックする。 クリックのたびに、 画面内の家具が部屋中を自由に移動した。 同時に部屋の景色も変わる フレームの色が変わる。 画面外にまで熊のぬいぐるみが飛んで行ったのを見て。 画面を閉じた。 部屋は静かだった。 エアコンだけが鳴っていた。 いつもの体制に横になり、天井を見る。 前頭葉が熱を持ってる気がした。 「……アトリエ」 「……別荘?」 何かを計算でもしているように、 右手の指先で布団を叩く。 「セーブポイント……」 「……置場所」 右手の動きが止まる。 「……居場所、か」 そう言って寝返りを打った。 前触れもなく、 部屋の明かりがゆっくりと、 時間をかけて暗くなる。 最後は、ごく僅かな灯りが床の輪郭だけ捉えていた。 …… 検索くんの部屋を後にして、 バグはちゃんと、右に曲がって駅に向かえていた。 頭も使って、目もシパシパしてる、 同じ角度を保っていた背中がだるい。 でも、気分が最高にいい。 助けてもらおうと思って会いに行った。 まだコードも触ってなければ、 資料もまだまだ情報量がありすぎた。 欲しいと思った機能もいっぱい消した。 ユーザー想定にいれてた戦隊レンジャーも今はいない。 でも、いやじゃなかった。 「このSNSの芯はなんだ?」 「まわりに、惑わされるな」 「俺のPCにバックアップがある。 今はドアを出る。 駅に向かう。 OK?」 検索くんの言葉が脳内で再生されている。 「駅に向かう、OK」 そう呟きながら、終電がまだ来てない駅の改札を抜けた。 昨日までの作業と、今日検索くんとクリアした作業は、同じ道をいくようで全く違う道だった。 検索くんのアドバイスは的確でシンプルだ。 「このSNSは誰を助ける?」 「今の企画で一番実装が重いのはどこだ?」 「なぜこのSNSを作る?」 ひとつずつ考えていった。 できることから、一つずつクリアしてみた。 わからなくて、こまったら。 検索くんが少し別の言い方で聞きなおしてくれた。 そしたら、少しでも、進んだ。 自分の本当に作りたかったものが、一つずつみえていく。 今までやってみたSNSは、 自分の好きなことをちぎって置いておくような感覚だった。 ここの場所では写真を。 ここの場所では動画を。 ここの場所では文章を。 でも「Roomfolio」は逆に、 外にちぎって置いておいたものを、 いろんな場所から集めて回るようなイメージだった。 Roomfolioは新しい投稿を増やす場所じゃない。 過去に置いてきた、見向きもしなくなったプラットフォーム。 前に作ったけど、置く場所がなかった作品やアイデア。 昔のことだけど、今ここに置いときたいだけの時間。 新しく始めたいことの、意思表示でもいい。 今も昔も、 せめて、ここに置いておこう。 みたいな気持ち。 駅のホームに、最終電車が止まる。 ドアが開く。 右足から乗り込んだ。 席はまばらだった。 壁に寄りかかれる場所を選ぶ。 いつも頭の中にいる、 自由な虫たちがやけに静かだ。 だいぶエネルギー使ったんだろうな。 もう次の言葉はでてこなかった。 立ったまま、少しだけ目を閉じた。 電車の中の音だけ遠くて、 夢と現実の間くらいのところにいた。 検索くんが、何かを探してくれていた。 「なんで部屋なんだよ。 リンク集でいいじゃん」 答えられなかった。 何て言うか、文字だと、ユーザーの持ってる思い出とか、大事な気持ちとか、そういうものまで、あまりに軽く置いてしまう気がして。 Roomfolioには、読み終わった本、大事にしてきたCD、もう見返さないかもしれない卒業アルバムとか。そういうものを置いていくみたいにしたかったんだ。 「ポートフォリオより"SNSが住む部屋"に近いな」 でも、うん。それであってる。 ここに大事なもの全部置いたとき、これが自分だなって部屋を見渡すような感覚でいてほしいんだ。 たぶん、その部屋を外の人がみた時も、これがこの人なんだなって、きっと素直に思えるはずなんだ。 あれ?これは、本当にあった会話だったかな。 こんな風にまとまった感じはなかった気がする。 検索くんの姿が少しはっきりした。 首に赤いマフラーをして、銀色の髪がなびいてみえた。 「404 not found エラーだ。」 そっか。まだ見つけてないやつだったのか。 検索くんは、バグに背を向けて静かにヘルメットを装着する。 「でも安心しろ。必ず見つけ出す。」 まどろみの中にいて、うまく返事はできなかった。 でも、検索くんが、探してくれてる。 もう大丈夫だって思った。 電車が揺れて、一瞬現実が強くなった。 あ、危ない。今大事なことを思ってたはずなんだ。 膝の力が抜けそうな感覚があって、一瞬で目が覚めた。 バグは、さっきの半分だけ夢の状態で考えたことを思い出せるか追いかけてみるが、難しそうだった。 ここからは、寝ないでちゃんと最寄駅で降りないと。 バグは窓の外を見る。 遠くの景色は遅く、近い景色はすぐに通りすぎていく。 眠い頭に、それがなんでそうなのか解説させるのは無理だった。 でも景色をみて、 部屋の背景画像のアセットの上に、 電車の窓の画像を背景透過して設置したら、 電車内みたいな変な部屋も作れていいな。 とか、考えてた。 今はまだRoomfolioの部屋は増やせないけど。 今はまだ言語化はできてないけど。 それも検索くんが、"Ctrl + F"するみたいに、 代わりの質問を、またかけてくれるはずだ。